「小さいところからスタートしたわらしべ舎」

勤め始めたのは平成7年からなんで、それこそ今平成31年ですから25年前から勤めてます。きっかけ自体は、あまりちょっと(笑)大きい声で言えないような、そんなすごい大志を抱いてわらしべ舎にきたわけではなかったんだけども、まあご縁でわらしべ舎には勤めはじめました。その頃というのはまだ無認可作業所といって、認可されてない作業所だったんです。本当に小っちゃい施設で、建物もプレハブの建物で、利用者さんもわたしがいたときには、ちょうどわたしと、入った3人いたんですよね利用者さん。もともといた利用者さんが2名、だから5名だったんですね。

だからそこからのスタートということで、無添加の石けんを作ってそれをお客さまに買ってもらって、みんなそれを自分たちのお給料にしていこうということでね。プレハブの建物で石けん工場もあったんだけども、すべてが手作りというか。石けんを作る窯は牛乳を殺菌する窯を再利用して、石けんを練り合わせて粉末状にするための練り機はカマボコ(笑)を作るその練り機を使ってやっていたりとか。もう本当に、あらゆるものを活用してお金をかけないでやっていく、ってふうなとこなんかやっぱりまあ「せざるを得なかった」というところではあったんです。

あと本当に、じゃあ職員と利用者さんでやるというよりは、もう家族もやるしボランティアさんもやるし、運営している運営者もそうですし、我々職員もそうだし利用者さんもそうだという。全部、みんなでわらしべ舎を「運営していかないと」というかたち、一緒にやっていかないとどうしようもないような状況だったので。それ自体はもう、何というのか職員も家族もご本人も、何か一体化していたというふうな状況で、利用者さんの工賃をやっぱり生み出すことだから。販売も家族と一緒に行ったりとか、イベントがあればそれこそボランティアさんたちとかも一緒にやったりとか、というふうなところでやってまいりました。

 

「また行きたいな、活動したいなと思ってもらえる施設を目指して」

少しずつ仲間も、利用者さんも増えて「入りたい」という人も少しずつ増えてきました。そのようなことで職員もそれに合わせて補充もしました。もうそのうち、まあわたしは従業員だったんだけども、わらしべ舎としてはやはり少しでも仲間を増やしていきたいな、入りたいという人を入れていきたいな、っていう思いもやはり強くなりました。たぶん我々従業員の、やっぱり保証っていうふうなところなんかも考えて、やっぱり社会福祉法人をとりたいと思うようになりました。受け入れももっとできるような状況であったり、働く環境というところもやっぱり良い環境で働いていきたいというふうな思いが、やはりドンドン大きくなって、この社会福祉法人をとってここの今のわらしべ舎西多賀工房に開設するほうにもってきた。というふうな流れはあったのかなっていうふうには思うんですね。

わたしなんかはすごく、そういった無認可時代からずっと仕事をしてきて、だんだんとこの西多賀工房でも職員が増え利用者が増え、というふうになってくると。今までの、その無認可でやっていたような「一体となって」、家族もボランティアもご本人も職員もみんなで一緒になってやる、っていうふうなのがやはり難しくなってくるというかね。いろんな人たちがやっぱ入ってきますから。

あとやっぱり「確立していった」というか、施設として。要は運営する側は法人がしっかり運営をする、それを実際に実践をしていくっていうのは職員がいて、というふうなとこで。何か役割がやはり出てきたというふうなところもあるんだろうな、ってふうに思います。

だから、その家族もボランティアも職員もご本人も一緒にやるというよりは、利用者さんが安心して、ここで、生きがいだったりとか楽しみであったりとかやりがいみたいなところを作る、ここわらしべ舎のところで「また行きたいな」「活動したいな」という人たちがここに入ってくる。それを選択してもらえるようなとこをしっかり提供していく、というふうなことになります。

 

「利用者さん10倍となり意識改革も」

またその、親御さんはそれがちゃんと。自分たちの子どもを受け入れてくれているところが「ちゃんとやってくれてるのかな」というふうなところなんかも見てもらうというか。そこのところは、親御さんも利用者さんもそうだけど、「サービスを受ける側」っていうふうな、そこの役割みたいなとこがすごく明確になってきたかな、というふうなことで、まあ正直でも戸惑いがやっぱありましたね。今まではその、一緒にやっていくというところ、それはそれの良さもすごくあったし、小回りがすごく効いたというのもあるんだけど。

サービスを提供する側、受ける側、っていうふうなところも明確にして、役割をハッキリしていくっていうふうなところで、偏ったサービスをするんではなくて、やはりここに入ってるすべての人たちに対してサービスを提供していくというふうなことをしていかないといけないのかな、っていうふうな。その辺の、何か意識改革みたいなもの(笑)がもうわたしの中にはすごくあって、戸惑ったりもしてはいました。

本当に、最初の5人から比べたら今は50人の利用者さんがいるので。本当10倍なんでね、だからそういう意味では戸惑ったところなんかもあるけれども、今は。わたしももちろん歳もとった、歳を重ねたところももちろんあるし。利用者さんも歳を重ねたところもあるし。親御さんなんかさらに、自分も歳も重ねて、今までいろいろ動けたところが動けなくなってきたりだとか、自分の置かれている状況だとか周りの環境もやはり変わってきたというところもあります。そういうふうな意味では、こう無認可の良さもあれば社会福祉法人となっての良さもあったりします。